第21回茅葺きフォーラム

 

文化庁選定保存技術国庫補助事業「平成29年度茅葺きフォーラム」に参加させて頂きました!

 

今回で第21回目となる、このフォーラムは久美浜の「安養寺」で行われました。

 

安養寺では、現在中級者研修が行われています。

講師の山城萱葺の山田さんを始め、葭留(滋賀)の坊野さん、大西茅葺(大阪)の余宮さん、そして美山茅葺(京都)の大下倉さんの三人の研修生によって30年ぶりに葺き替えられています。

 

 

まずは、現場見学から!

 

現場は約18日目に入っていて、今後の工程としては棟をおおい、仕上げの平刈込み・軒狩りが行われる予定です。

この茅葺き屋根のの特徴は、京都では珍しく軒にそりがあるということ、棟には杉皮も瓦ものっていない草だけの裸棟であることの二点が大きくが挙げられます。

裸棟は地域性を大切にということで、草を表面に持って来て杉皮を中にねさした技法が使われているそうです。

日照りが暑い中、皆さん熱心に説明を聞かれていました!

 

屋根の仕事は職人の知恵によって出来上がっていくもの、その知恵が育まれるような研修を目指されています!

 

 

その後は、鶴岡さんの「文化財における伝統技術と材料の諸課題について」の講演です。

文化財を継承していく上で、修理前の検証・そして伝統技術に加え保存技術のあり方の重要性を訴えられていました。

 

修理以前に使われていた材料と同じもの使うこと

伝統技術だけでなく、修理のための保存技術について

修理前と終了後のお記録を残すこと

 

昔の技術や材料をもって修復するというのは難しいことです。

大変な作業こそ大切にしていかなばならないと、改めて考えるきっかけとなりました。

 

 

次に山城萱葺 石井さんの「京丹後市大宮町五十河 田上邸住宅 笹葺き屋根再生までの過程」の講義です。

 

石井さんは、丹後の笹葺き文化の継承を14年されてきました。その経験を経て知った笹葺き文化の価値について発信されていました。

 

「田上邸保存会」の活動の経緯

昭和10年の移築から70年ぶりに葺き替えられたこと

笹葺きの葺き方について笹葺き職人の大江さんから教わったこと

現在進めている上世屋の笹葺き屋根差し茅修復活動

笹葺きに必要な「地域の笹場」の環境再生・保護

学生と地域の住人との新しい「結」の形

 

現存する笹葺き屋根と笹場のある生きた茅葺きが残っている地域はほとんどないそうです。

2005年に始まった笹葺きの屋根の葺き替え工事は20年ぶりであったそうで、

石井さんは「あと五年この活動にが遅かったら、笹葺き屋根は丹後から無くなっていたと思います。」とおっしゃられていました。

笹葺き屋根の再生・継承には、職人の高齢化・笹場の開拓・活動の自己負担などの大きな壁があったと思います。

そんな中、この活動が続けててこれたのは、世代を超えた学生と地域の人々との協力による人とのつながりです。

 

 

最後に会場全体で、茅葺きについて討論会が行われました!

 

保存会の最高齢田中さんから後継者へのメッセージ

笹葺きの体験を経て感じたこと・みんなで葺くことの大切さなど

全国の茅葺き職人の交流が年々盛んになっていること

茅葺きの職人同士や施主さん、そして地域の人々の人間関係の大切さ

屋根に上るための茅づくりに時間をかけることが大切であること

職人にも話し手となって、わかりやすく伝える力や発信していく努力が必要

 

などなど様々な話し合いがされ、本当に充実した時間でした!

 

最後に、安養寺の住職の藤村さんは「葺く」という漢字について、

『「葺く」に「口」と「耳」がなぜついているのか。五感の内の話すことと聞くことの重要性が「葺」の漢字の意味に込められているのではないでしょうか。今回の中級者研修での現場を見てそう思いました。』と述べられた事に大変共感しました。

 

 

人同士のつながりの中でモノをつくっていく事業が、これからの時代に必要です。

そして茅葺きにはその要素で溢れていると思います。

 

これからが楽しみです。