旧本田家住宅(東京都指定有形文化財)復元工事完了

【工事概要】

 

■ 工事名

旧本田家住宅(東京都指定有形文化財)復元工事

 

■ 工事場所

東京都国立市

 

■ 工期

約3ヶ月半

 

■ 工事概要

復元工事

 

■ 担当者コメント

今回手がけた現場「旧本田家住宅」は、江戸時代に建てられたとされる茅葺き民家のひとつです。

 

※旧本田家住宅は、江戸時代期より国立市谷保に建つ由緒ある建造物です。建造年代は特定されていませんが、室内に残る家作の安隠を祈願した祈祷札に享保16(1731)年と記されており、それ以前に建てられたと考えられています。主屋の建築当初の間取りは、食い違い六間型で六部屋から成り、都内においてこの形の遺構としては最古級のもの。屋根は入母屋造りで茅葺き、近年は鉄板で覆われていました。

(国立市ホームページより引用:https://www.city.kunitachi.tokyo.jp/soshiki/Dept08/Div03/Sec01/gyomu/0061/0062/hondake/index.html)

 

歴代の本田家当主に守られてきたこの住宅の茅葺屋根を、約3か月半かけて復元しました。

屋根の構造は入母屋造りで、大棟と書院の棟が交差しており、棟が2つあります。外観の特徴は、箕甲(みのこう:切妻造りや入母屋造りの反り屋根において、切妻側の壁から突き出た「けらば」部分に独特の曲面を持たせて納めた部分)と芝棟です。

この芝棟では、やがて春になると「イチハツ」という紫の花が咲く予定です。自然とともに時を重ね、移ろいゆく姿を見せてくれる――それもまた、茅葺き屋根ならではの魅力だと思います。

 

今回の工事は「復元工事」であったため、現存する古写真や図面を参考にしながら、当時の姿を丁寧に読み解くような作業となりました。茅の厚みや重ね方、棟の納まり、軒先の出具合など細部の意匠にまで気を配りました。

 

また、美山町周辺では全面葺き替えの現場は限られており、これだけの面積を鋏で刈り込める機会は貴重です。こうした機会にしっかりと技術の習得に励み、こうした技術も次の世代へ引き継いでいかなければならないと、改めて感じました。

 

文化財の工事とは、単に屋根を新しくする作業ではないと思っています。そこに込められてきた先人の技術や想いを受け継ぎ、未来へと繋いでいく大切な仕事です。この屋根がまた新たな年月を重ねていくなかで、次の世代の職人が私たちの技術や想いに触れてくれるかもしれない――そんなことを思うと、身が引き締まる思いがします。

 

これからも、茅葺きの技術と文化をしっかりと未来へ繋いでいけるよう、一つひとつの現場と丁寧に向き合っていきたいと思います。

 

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