夏越の祓、茅の輪づくり――祈りを込めた茅葺職人の仕事

古神道では1年は2回あると考えられ、1月~6月を【陽】・7月~12月を【陰】と記されています。夏至は、陰陽の分岐点となり、新たなスタートになる日でもあります。

 

この時期に神社などでは『夏越の大祓(なごしのおおはらえ)』という神事が行われています。
「夏を越える」と書いて「夏越」。旧暦では8月半ば過ぎにあたり、夏の疲れが出はじめるころ。
「秋を迎える前に、半年分の穢れを祓い、心身を清浄な状態に整える」――そんな祈りを込めた神事です。

 

6月30日、私たちは北村集落の氏神様である北村八幡神社に「茅の輪(ちのわ)」を奉納させていただきました。
この茅の輪をくぐることで、身にまとった厄や災いを払い、健やかな夏を迎える準備をします。

 

私たちの茅の輪は、集落内にある茅場で刈り取ったススキで作られています。ススキには古くから魔除けや邪気払いの力があると信じられてきました。日々、ススキや縄を扱い、自然と向き合いながら仕事をしている茅葺職人として、この茅の輪にも私たちならではの技とこだわりを注いでいます。

 

年々、夏の暑さが厳しくなるなか、社員やその家族はもちろんのこと、北村集落の皆さま、そして日頃支えてくださる関係者の皆さまの無病息災を願い、心を込めて編み上げました。

 

この茅の輪は、7月下旬ごろまで北村八幡神社に設置されています。
「かやぶきの里」を訪れる際は、どうぞ足を運び、茅の輪をくぐってみてください。
自然の力を肌で感じ、厳しい夏を元気に乗り越えるきっかけとなれば、これほど嬉しいことはありません。

 

茅葺き屋根を葺くように、丁寧に、祈りを込めて編み上げた茅の輪。
これもまた、「かやぶきの里」を拠点として働く私たちの、ささやかな使命のひとつです。

 

 

なお、茅の輪くぐりには、決まった作法があります。

  1. 正面で一礼し、左足でまたいで左回りに輪をくぐり、元の位置に戻ります。

  2. 再び一礼し、右足でまたいで右回りにくぐります。

  3. もう一度一礼し、左足でまたいで左回りにくぐります。
    最後に正面で一礼し、参拝します。

神拝詞(となえことば)としてよく唱えられるのは、

「祓え給へ 清め給へ 守り給へ 幸え給へ」
(はらえたまえ きよめたまえ まもりたまえ さきはえたまえ)

声に出さず、心の中で唱えるのが一般的です。

 

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