2025年8月末から約1週間、デンマークで「国際茅葺き会議(ITS: International Thatchers Society)」が開催されます。世界各国の職人が集まり、講演やワークショップを通じて交流する国際的な場に、当社から若手職人3名が参加します。出発を間近に控えた3人に、今の率直な思いを聞いてみました。

現地でしか得られない「体感」を
楽しみにしているのは、現地の屋根の雰囲気や施工方法、そして道具の違いです。日本とは異なる気候や風土のなかで、何を重視しているのかを実際に学びたいと思っています。材料の違いや土地の空気感など、五感を目いっぱい使って体感し、いろいろなことを吸収してきたいです。
初めての海外が、茅葺きに関わることで訪れる機会になったことを率直に嬉しく思っています。現地の職人さんと接することで、働き方や施工方法の違いから新しい発見があり、自分自身の考えを見つめ直すきっかけにもなるのではと期待しています。日本の屋根にも応用できる技術があれば、新たな技の引き出しとしてこれからの仕事で活かしていきたいです。

デンマークならではの茅葺きに触れる
デンマーク特有の「海藻で葺いた屋根」が見られることを、とにかく楽しみにしています。デンマークでは茅葺きの何に重きを置いているのか――見た目なのか、機能性なのか、環境性なのか――そうしたことを学びたいです。
また、前回のオランダ大会で知り合った職人さんたちと再会できることも嬉しいです。デンマークには職人養成学校のようなものがあるらしいので、その様子を見学したり、そこで学ぶ若者たちがどんな夢や目標を持って通っているのか聞いてみたいです。
ヨーロッパでは茅を内装に使うなど、日本ではあまり見られない使い方もあります。今回の学びを活かして、将来的には日本でも民家だけでなく、小さな建物や内装などにも挑戦してみたいと思っています。

茅葺の多様性を実感する旅に
身近にある資源を活用して生活に役立てる技術は、世界中に広く存在しています。その中でも住まいをつくる上で大切な要素である屋根に関して言えば、茅葺は最も普遍的な技術のひとつだと思います。「茅葺き」と一口に言っても、場所が違えば材料や工法も異なり、その形態は実に多様です。
デンマークには海草で葺く屋根があると聞きますが、まだ想像がつきません。
今回、各国から集まる職人の方々との交流や、デンマークにおける具体的な事例を通して、自分自身の茅葺への理解が深まっていくことを大いに期待しています。本当に楽しみです。
3人はまもなくデンマークへ飛び立ちます。世界の茅葺文化に触れ、そこで得た学びや感覚をどのように持ち帰ってくるのか。
帰国後には、現地での様子や学びをまとめた報告記事を掲載する予定です。続報にぜひご期待ください。