【イベント報告】未来へつなぐ伝統の技。「日本の技フェア2025」にて茅葺き職人体験を実施

2025年11月22日(土)・23日(日)の2日間、福井県にて文化庁主催の「日本の技フェア2025」が開催されました。

このイベントは、文化財の保存のために欠かせない「技術」に焦点を当て、その技を支える職人や団体が一堂に会する貴重な機会です。

当社からも職人が現地へ赴き、茅葺きの魅力を伝える活動に参加しましたので、当日の様子をご報告します。


今回、私たちは当社の社長が理事を務める「一般社団法人日本茅葺き文化協会」の一員として参加いたしました。同協会は、国の「選定保存技術」の一つである「茅採取/茅葺」の保持団体として認定されています。

※選定保存技術とは、文化財を守るために不可欠でありながら、保存の措置を講ずる必要がある技術を国が選定し、その技の保存・伝承を図る制度です。

 

当日は、協会として様々な種類の茅の展示や、実際に中に入れる藁葺き(わらぶき)の模型などを設置し、多くの来場者の方に茅葺き文化に触れていただきました。

 

私たちが主に担当したのは「茅葺き職人プチ弟子入り体験」です。

普段、屋根の上で行っている作業を地上で体験していただくため、特製の屋根模型を現地に持ち込みました。体験の内容は、実際の職人の仕事を凝縮したものです。

  1. 茅を並べる

  2. タタキと呼ばれる道具で叩き、屋根面を整える

  3. 竹と縄を使って縫い止める

  4. 再度叩いて屋根面を整える

  5. 最後にハサミで刈り揃えて仕上げる

簡単ではありましたが、この一連の流れを来場者の皆さんに体験していただきました。 

2日間で約40名の方に体験していただきましたが、私たちにとって嬉しい誤算だったのは、予想以上に多くの子どもたちが参加してくれたことです。

正直なところ、茅葺きというものに子どもたちが興味を持ってくれるか不安もありました。しかし、蓋を開けてみれば、みんな真剣そのものでした。

初めて触る茅やわら縄の感触、茅を叩いたり、ハサミで刈ったりする感覚――。

体験に没頭する子どもたちの姿を見て、茅葺きに限らず、「ものづくり」という行為そのものが持つ力を改めて感じさせられました。

また、親御さんの世代にとっても、茅葺きは馴染みのない存在です。今回の体験を通じて、親子で茅葺きの仕組みや面白さに触れていただけたことは、私たちにとっても大きな収穫でした。

 

茅葺き屋根を目にする機会は減り、どこか「昔話の中のもの」として扱われがちです。しかし、身近な植物が屋根の材料として雨風を凌ぐ屋根になり、役目を終えた茅くずは田んぼや畑へと還っていくという自然との循環は、現代にこそ必要な視点であり、まだまだ多くの可能性を秘めています。

 

今回体験してくれた子どもたちの中から、将来一人でも茅葺き職人が生まれたら、これほど嬉しいことはありません。 しかし、たとえ職人にならなくても、「ススキを使った茅葺きって屋根になるんだ」「あの時体験した感覚は楽しかったな」という記憶が彼らの心に残り、将来のどこかで茅葺き文化を思い出してくれることが、何よりの財産になると考えています。

 

業界全体の将来への投資として、そして茅葺きの可能性を広げていく第一歩として、私たちはこれからも「まずは知ってもらうこと」を大切に活動を続けてまいります。

 

ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。